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現代歌人シリーズ33『青い舌』山崎聡子

書影「青い舌」

舌だしてわらう子供を夕暮れに追いつかれないように隠した

【第3回塚本邦雄賞受賞作】

子供との時間のなかに
前世のような記憶の翳がさす。

いつか、どこかで、わたしは立っていた

定価
本体2,100円(税別)
出版社
書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)
 
2021年7月刊行
ISBN
978-4-86385-470-3 C0092
 
作品詳細
購入方法
全国の書店で販売中。
紀伊國屋書店ウェブストア、Amazon等でも購入できます。詳しくは書肆侃侃房公式サイトをご覧ください。

山崎聡子 第一歌集『手のひらの花火』

書影「手のひらの花火」

記憶のような、予言のような―
鋭く、なつかしい言葉たち。

【第14回現代短歌新人賞受賞作】
第53回短歌研究新人賞受賞作「死と放埓なきみの目と」を含む、10代後半から20代に書かれた短歌250首を収録。
少女の鮮烈な視点が〝あの世〟と〝この世〟を交錯する。第1歌集。

定価
本体1,800円(税別)
出版社
短歌研究社
 
2013年5月刊行
ISBN
978-4-86272-319-2
 
作品詳細
購入方法
西瓜とクロール ネットショップで販売中
初版完売しました
再版については短歌研究社にお問い合わせください。

「青い舌」

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作品概要

舌だしてわらう子供を夕暮れに追いつかれないように隠した

書影「青い舌」 <第3回塚本邦雄賞受賞作>
第14回現代短歌新人賞を受賞した第1歌集『手のひらの花火』の刊行から8年ぶりとなる第2歌集。

子供との時間のなかに前世のような記憶の翳がさす。
いつか、どこかで、わたしは立っていた

2021年7月刊行。

【自選5首】

君のべろが煙ったように白かったセブンティーンアイスクリーム前

西瓜食べ水瓜を食べわたくしが前世で濡らしてしまった床よ

蟻に水やさしくかけている秋の真顔がわたしに似ている子供

ヒメジョオンの汁でつくったマニキュアでにぶく光っていた爪の先

遮断機の向こうに立って生きてない人の顔して笑ってみせて

仕様

定価 本体2,100円(税別)
出版社 書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)
発売日 2021/7/10
版型 四六判変形/並製
総ページ数 160ページ
ISBN 978-4-86385-470-3 C0092
購入方法 全国の書店で販売中。
紀伊國屋書店ウェブストア、Amazon等でも購入できます。詳しくは書肆侃侃房公式サイトをご覧ください。

備考

装幀:花山周子


*塚本邦雄賞:短歌という文学の可能性を広げ、深化させ得た短歌歌集作品とその作者を顕彰することを目的とする賞



あとがき

 短歌を書くようになってから19年が経った。それなのに、私には短歌が実際のところなんなのか全然わからないし、短歌が本当に自分に馴染んでいるのかさえ自信がない。それでも、短歌を書いてきたことで思いがけず流れた濃密な時間を、振り返ってうれしく思う。

 思い返すと、子供の頃には怖いものがいっぱいあった。近所の釣具屋で飼われていた真っ黒な犬が、友達が私に気づかれないように向けてくるすれすれの悪意が、夕方の薄闇に透ける濁った雲が、祖母の家のガラス窓に映る人の顏の生々しさが、ぜんぶがぜんぶ怖かった。けれど、いまは怖いものなんて少ししかなくて、私は四歳になる娘の前でぱちん、と寝室の電気を消す。
 暗闇のなか、娘が覚えたての英語で、あいらびゅーまま、とつぶやくのを聞くと、ここがひどく遠くて、淋しくて、くらくらする。

**

 家族と友人に。前歌集から引き続き装幀を担当してくれた花山周子さんに。そして、出版の機会をくださった書肆侃侃房の編集部の皆さまに、心から感謝を申し上げます。

 2021年4月 自宅キッチンにて

山崎聡子


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